読書日記2002年3月                                      辻田昌弘
3/2-3/9『大戦勃発1・2』トム・クランシー・著(新潮社)
 前々作「日米開戦」でジャンボ旅客機(日本航空!)をワシントンの国会議事堂に突っ込ませたために、今回の9.11NYテロのモデルになったといわれ、ますます名声を高めた(?)トム・クランシーのジャック・ライアン・シリーズ最新作。今度の相手は中国だ!ということで、本作はNYテロより前に書かれているにもかかわらず、アメリカは世界一の国で、世界の平和を守るのは俺たちだ、という著者の意識が従来以上に色濃く表れていて、正直さすがにやや閉口する。しかし、ストーリー・テラーとしてのクランシーの技量は相変わらずさすがというほかなく、読み始めればぐいぐいと引き込まれていく。今回も文庫版全4巻と大部だが、例によって「やめられないとまらない」である。これで第3・4巻の発売は一ヶ月後というのはあまりに殺生な…。

3/10-3/16『ダーウィンの剃刀 』ダン・シモンズ・著(早川書房)
 ダン・シモンズという作家はSF界の大御所だそうだが、読むのは初めてである。しかも、本書はSFではない。しかし、本書を読めば、彼が「手練れの者」であることは一目瞭然である。なにしろ「かっこいい」のである。設定、背景、小道具、会話といった細部に至るまで洒落ている。なにしろ主人公の仕事からして損害保険の事故調査員というなかなかマニアックな設定である。しかも、この主人公はかつては海兵隊の名スナイパーということで、後半はスティーブン・ハンターのスワガー・シリーズばりの壮絶な銃撃戦が展開されるのであるが、これも◎。たいへんおいしゅうございました。

3/17-3/22『一ドル二〇〇円で日本経済の夜は明ける』藤巻健史・著(講談社)
 JPモルガンで伝説のディーラーと呼ばれた藤巻健史氏が主張する、円安誘導によるインフレ・ターゲティング論。これまでに私が見たインフレ・ターゲティング論者の中ではもっとも説得力があると思う。それは学者やエコノミストという人種とは異なり、現場に身を置いたことがある者ならではの説得力なのかもしれない。そう「事件は現場で起こってるんだ」。いずれにせよ、彼のいうとおり、もはや選択肢はほとんど残されていないのかもしれない。
 でも、この人、文章うまいです。というか、むちゃくちゃおもしろい!

3/23-3/31『指輪物語 1 −旅の仲間 』J・R・R・トールキン・著(評論社)
 現在公開中の映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作で、いわゆるヒロイック・ファンタジーの古典的名作である。スター・ウォーズや私の好きな栗本薫のグイン・サーガなんかにも影響を与えているということで、活字禁断症状(たまに読みたい本、読まなきゃいけない本がぷつっと切れることがある)に陥ったときに一冊ずつ読もうと思い、読み始めた。第一巻を読んだ限りでは、うーん、日本語訳がやや現代風でないせいか、まだ「はまる」というところまでは至っていない。これも全8巻(だったかな?)と長いので、まあ気長に行きましょう。

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