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−特区認定を受けた自治体や特区の内容を紹介するHP「みんなの特区」を運営、特区の普及を支援してきた。
特区は、自治体が地域住民や企業を顧客と意識し、ニーズや不満は何かと考えるところから始まるボトムアップ型の制度。従来のように、霞が関が決めたことを執行するだけでなく、自治体独自の政策形成能力を鍛える実験だ。ただ自治体が創意工夫するだけでは、タコツボに陥る可能性がある。他の自治体の取り組みをデータベース化して情報を共有すれば効果的になると思い、一昨年にHPを立ち上げた。「みんなの特区」は二十八日に閉鎖するが、自治体やビジネス関係者から「参考になる」との評価を得た。
−シンクタンクの研究員として数多くの特区を診てきた。
特区は現在、五百四十九あり、数の上では順調だ。ただ実態としては、ある意味で踊り場に差し掛かっている。提案件数は第六次で減り、特区制度の基本となる規制の特例措置の項目数も減少している。また内容が類似した特区が増え、目新しさに欠けている。
さらには、規制緩和の弊害の有無を判断し、全国展開の判断をする構造改革特区評価委が頑張りすぎている面もある。四十六件の規制緩和の全国展開が決まり、第六次までに認定を受けた四百七十五件のうち、半分弱にあたる二百十六件が消される可能性がある。七カ月で消える特区もあり、自治体が特区に取り組む意欲が阻害される。
省庁が新たな規制の特例措置の認定を渋って入り口を狭めているため、新しい特区が増えない。その一方で、特区が次々消えるのはバランスが悪い。
−特例措置を全国展開する判断が早すぎるとの意見もある。
今の特区は、特区推進室が自治体などの客を熱心に呼び込むけれど、省庁が出す規制緩和メニューは少ない。しかも、すぐ認定が取り消されるので、店から追い出される。店の外に出れば、全国展開され、店内でしか食べられなかったはずの料理が無料で配られている。
一、二年待てば無料で配られるなら、自治体や民間事業者もわざわざ入り口から苦労して入らなくてもいい、と考える。この制度は自治体や民間事業者の自発的なボランタリーな提案で成り立っている。
特区は、財政支援もなく、いわばステージが用意されているだけで、あとは踊ってくださいという仕組み。だから次から次へとステージにあがってもらう状態をキープする運営上の工夫が必要だ。
−提案者のモチベーション維持の具体策が求められている。
その一つは、一般の人にも分かるような宣伝が必要。二つ目は提案者の気持ちをフォローしてあげること。全国に先駆けて取り組んだ自治体や民間事業者を評価、表彰してもいい。ボランタリーな制度なだけに、努力や取り組み姿勢を評価してあげることが意外と効くのではないか。
特区の期間を決めることも大事。特例措置の内容に応じて期間を固定させれば、自治体も予算をつけ、腰をすえて取り組める。民間事業者も、スケジュールが立てられれば、取り組みやすい。
−数多くある特区の中で、とりわけ将来性の高い分野もある。
技術革新、イノベーション関連特区だ。ロボットや新エネルギー開発では、今ある技術をベースとした規制がイノベーションの障害となっている。規制緩和が研究開発コスト削減や開発期間の短縮につながれば、企業も提案しやすい。
米国は州によって規制が異なり、EUも各国間で均質ではない。新しいものを生み出すには、多様性が必要だが、日本は均一すぎる。制度の差異は地域間に競争を生み出す。全国一律ならば、企業は東京に集まる。それでは活力につながらない。特区制度は発想の転換につながる大きな可能性を秘めている。
≪辻田氏の評価≫
自治体は積極的に取り組んでいないところもあるが、頑張っている自治体を応援する意味で合格。民間事業者は特に大企業からの提案がまだ少ない。評価委は高く評価しているが、頑張りすぎることがマイナス効果を生みかねない状況もある。規制緩和は個別で見れば小さいが、進捗(しんちょく)している。良い制度であり、仕組みなど細かい点を修正すれば、期待値込みで80点。
(地方部 森口忠)
2005年3月26日付 産経新聞
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